商品ページ:フレイルティー -妄執-スペシャル・コメンタリー・エディション [DVD]
子煩悩な父親と息子二人。父子家庭ながらも円満に暮らす中流のアメリカ人一家に、思わぬ災厄が降りかかる。ある夜、就寝中の父ちゃんが天からの啓示を受け(当人のみ納得)、この世にひそむ悪を排除する行動を取り始めたのだ。見知らぬ標的(といっても、単なる一般市民)の脳天にサックリと斧を振り下ろしても、それはアルマゲドンの闘いだから善なる対処。殺人のように見えても、心は明鏡止水のごとしなのだ。そして、まだ幼い弟は父の宗教観を容易に受け入れるが、自己を確立し始めた年頃の兄は、父のアブナイ言動とあまりに凄惨な現場に、耐え難い苦痛を覚えるのだった。『キャリー』の狂信、『デッドゾーン』のテレパシーといったスティーヴン・キング十八番の作品世界を引用しているらしく、大仕掛けはないものの、次第に焦燥が積もり重なっていくという巧みな展開。昨今のカルト教団にまつわる騒動、サイコ・キラーの事件簿を振り返っても、絵空事とは言えない戦慄が走る。フツーの良きパパが天使のブラ、じゃなくて、お触れで急変する。この二面性が思わぬ拾いモノ『W ステップ・ファーザー』と同じく、背筋をウゾゾーッとさせるのだ。しかも、他言は一家崩壊へと結びつく。このジレンマに悩み、いっそう泥沼へと足を取られていく兄を語り手としたのも、ホラーとしての息苦しさを一層高めた。終盤、サイコ・キラーから真の意味での神がかりへと話を持っていったのは、やや蛇足だった気はするが、いたずらにスプラッターへと向かわなかった殺人時の描写も正解。この点でもゲテモノとはならず、サスペンス作品として十分成立している。それにしても、神の啓示を受けたにせよ、ある程度の限度を保っていたバカボンのパパは常識人だった。その行動に、バカボンは弟ハジメちゃんよりも悩んでいたわけだが……。 (丸目蔵人) — 2003年08月号 — 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
製作総指揮: トム・ハッカビー/カレン・ルーブ/トム・オーテンバーグ/マイケル・バセオネック 製作: デヴィッド・ブロッカー/デヴィッド・カーシュナー/コーリイ・シェネガ 監督・出演: ビル・パクストン 脚本: ブレント・ハンレイ 撮影: ビル・バトラー 音楽: ブライアン・タイラー 出演: マシュー・マコノヒー/パワーズ・ブース/マット・オリアリー/ジェレミー・サンプター/ルーク・アスキュー 声の出演: 星野充昭/森田順平/有本欽隆/竹内順子/白石涼子/長克巳
— 内容(「CDジャーナル」データベースより)